ディープインパクト×キャットクイルの牡馬として、2010年に生を受けたキズナ。
母は桜花賞・秋華賞・エ女王杯を制したファレノプシスも輩出した名牝である。
人同士のつながりの大切さを示す「絆」の意を込めて、この世代の1番馬に名付けられた。
武豊騎手との出逢い、父仔制覇となる日本ダービーでの勝利など、戦績を振り返る。
戦績・賞金
血統、通算成績/競走成績は以下のとおり。
血統
父:ディープインパクト
母:キャットクイル
佐々木晶厩舎(栗東)
前田晋二、ノースヒルズ
通算成績
14戦7勝 (7-1-2-4)
本賞金:4億4170万円
収得賞金:1億0725万円
競走成績
日付 | レース名 | 距離 | 人気 | 着順 | 単勝 | 騎手 |
15.5.3 | 天皇賞春(G1) | 芝3200 | 1 | 7 | 3.3 | 武豊 |
15.4.5 | 産経大阪杯(G2) | 芝2000 | 1 | 2 | 1.4 | 武豊 |
15.2.15 | 京都記念(G2) | 芝2200 | 2 | 3 | 2.3 | 武豊 |
14.5.4 | 天皇賞春(G1) | 芝3200 | 1 | 4 | 1.7 | 武豊 |
14.4.6 | 産経大阪杯(G2) | 芝2000 | 2 | 1 | 2.4 | 武豊 |
13.10.6 | 凱旋門賞(G1) | 芝2400 | - | 4 | - | 武豊 |
13.9.15 | ニエル賞(G2) | 芝2400 | - | 1 | - | 武豊 |
13.5.26 | 東京優駿(G1) | 芝2400 | 1 | 1 | 2.9 | 武豊 |
13.5.4 | 京都新聞杯(G2) | 芝2200 | 1 | 1 | 1.4 | 武豊 |
13.3.23 | 毎日杯(G3) | 芝1800 | 1 | 1 | 1.5 | 武豊 |
13.3.3 | 弥生賞(G2) | 芝2000 | 3 | 5 | 6.4 | 武豊 |
12.12.22 | ラジオNI賞(G3) | 芝2000 | 2 | 3 | 2.9 | 武豊 |
12.11.11 | 黄菊賞500 | 芝1800 | 1 | 1 | 2.0 | 佐藤哲三 |
12.10.7 | 新馬 | 芝1800 | 1 | 1 | 2.0 | 佐藤哲三 |
経歴
名手との出逢い、ダービー制覇
新馬戦、黄菊賞と2連勝を飾り、ラジオNIKKEI杯2歳Sへ向かうこととなった。
主戦の佐藤哲三騎手が負傷休養のため、このレースから武豊騎手が手綱を取ることになった。
しかし、結果は3着となり、初の黒星を喫してしまう。
そして、年明け初戦の弥生賞も結果が振るわず、5着に敗れた。
皐月賞の優先出走権が得られなかったため、次走に毎日杯を選択した。
ハイペースの後方に位置取り、直線は豪快に外から追い込み、2着に3馬身差を付けて快勝する。
陣営は皐月賞を回避し、大目標であるダービー制覇を見据えて、京都新聞杯に参戦した。
ここでも素晴らしい末脚が炸裂、重賞連勝を飾って本命候補に名乗りをあげた。
そして、迎えた本番。単勝2.9倍の1人気に支持された道中は、前2走と同じく後方待機策。
直線は外に持ち出し、上がり33.5秒の末脚でエピファネイアを捉え、1/2馬身差をつけ優勝した。
最初はなかなか結果が出なかったが、1戦毎に絆を深め、念願のダービー制覇を果たした。
オーナーサイドが目論んだとおり、世代No.1となった同馬は海外遠征するプランが明かされた。
凱旋門賞への挑戦
前哨戦として、本番と同じロンシャン競馬場で開催される3歳限定戦のニエル賞に出走する。
8頭立ての少頭数ながら後方から差し切り、海外で初勝利を挙げた。
凱旋門賞では、道中後方2番手からレースを進め、フォルスストレートで徐々に位置をあげていく。
そして、直線追い出したが、トレヴ・オルフェーヴル・アンテロに届かず、4着に終わった。
帰国後は有馬記念に参戦するプランもあったが、体調が整わなかったため見送り。
国内復帰戦は4月の大阪杯へ、菊花賞馬であるエピファネイアと4度目の対決をすることになった。
8頭立ての少頭数となり、復帰戦ということもあって、微差ながら2人気に甘んじた。
その評価を嘲笑うかの如く、直線で全頭を差し切って、見事1着でゴールする。
鬼門となった天皇賞春、そして引退へ
2014年、1度目の天皇賞春では、前走の内容から1.7倍で断トツの1人気に支持された。
後方待機から上がり34.0の末脚を繰り出したが、前の3頭を捕らえきれずに4着。
その2日後に骨折が判明し、1年近くの長期休養に入ることとなった。
明けて2015年、復帰戦となった京都記念は後方から追い込むも3着に敗れた。
続く、大阪杯は断トツの1.4倍に支持されたが、不良馬場も堪えたのか2着。
2度目の天皇賞春はキズナらしさが見られず、7着と生涯で初めて掲示板を外した。
このまま春シーズンは全休となり、秋シーズンは国内に専念するつもりであった。
しかし、右前繋部浅屈腱炎の発症が判明し、現役を引退することとなった。
ディープインパクト、キズナと受け継がれた血脈が仔にも伝わっていくことだろう。
親子3代でのダービー制覇が近い将来実現されることを切に願いたい。