「走っているというよりも、飛んでいるような感じですね。」
全レースで手綱を取った武豊騎手が皐月賞を勝利後、インタービューで発した言葉だ。
卓越した心肺能力を持ち、そこから生まれるスピードと瞬発力はまさに飛ぶような走りであった。
3コーナーから捲りに歓声が上り、他馬を寄せ付けず圧勝するレースは、衝撃をあたえた。
戦績・賞金
血統、通算成績/競走成績は以下のとおり。
血統
父:サンデーサイレンス
母:ウインドインハーヘア
池江泰郎厩舎(栗東)
金子真人HD、ノーザンF
通算成績
14戦12勝 (12-1-0-1)
本賞金:13億2400万円
収得賞金:4億7175万円
競走成績
日付 | レース名 | 距離 | 人気 | 着順 | 単勝 | 騎手 |
06.12.24 | 有馬記念(G1) | 芝2500 | 1 | 1 | 1.2 | 武豊 |
06.11.26 | JC(G1) | 芝2400 | 1 | 1 | 1.3 | 武豊 |
06.10.1 | 凱旋門賞(G1) | 芝2400 | - | 失 | - | 武豊 |
06.6.25 | 宝塚記念(G1) | 芝2200 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
06.4.30 | 天皇賞春(G1) | 芝3200 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
06.3.19 | 阪神大賞典(G2) | 芝3000 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
05.12.25 | 有馬記念(G1) | 芝2500 | 1 | 2 | 1.3 | 武豊 |
05.10.23 | 菊花賞(G1) | 芝3000 | 1 | 1 | 1.0 | 武豊 |
05.9.25 | 神戸新聞杯(G2) | 芝2000 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
05.5.29 | 東京優駿(G1) | 芝2400 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
05.4.17 | 皐月賞(G1) | 芝2000 | 1 | 1 | 1.3 | 武豊 |
05.3.6 | 弥生賞(G2) | 芝2000 | 1 | 1 | 1.2 | 武豊 |
05.1.22 | 若駒S | 芝2000 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
04.12.19 | 新馬 | 芝2000 | 1 | 1 | 1.1 | 武豊 |
経歴
無敗での3冠達成
新馬戦、若駒S、弥生賞を3連勝し、牡馬クラシック第1弾の皐月賞に臨むこととなった。
前走がクビ差であったこともあり、最終単勝オッズが1.3倍。
これが生涯で最低の単勝オッズとなった。今後もこの記録を抜く馬はまず現れないだろう。
皐月賞のスタート直後に大きく躓き、最後方からのレース強いられる。
それでも3コーナーから徐々に進出を開始。
4コーナーでは武豊騎手が初めて鞭を入れたが、直線半ばでは手綱を緩めるほどの完勝劇。
この勝利はまさに3冠馬との巡り合いでもあった。続くダービーでは単勝1.1倍に支持される。
レースは後方追走から直線大きく外に持ち出し、2着に5馬身差をつけて圧勝。
デビュー5戦目でクラシック2冠を達成し、秋の京都へと衝撃は引き継がれることとなった。
秋初戦の神戸新聞杯を完勝し、迎えた牡馬クラシック3冠最終戦の菊花賞。単勝オッズは1.0倍。
レースでは好スタートを切ったものの、スタート後の最初の3コーナーから掛かってしまう。
ディープインパクトが1周目のゴール板を本当のゴールと勘違いをしたのだ。
武豊騎手が懸命になだめ、1周目のゴール板を過ぎたところで何とか折り合いを付ける。
馬群中団でレースを進め、直線では10馬身以上前にいたアドマイヤジャパンを捉えての勝利。
史上6頭目の3冠馬、無敗での3冠達成はシンボリルドルフに続く2頭目。
直線で実況アナが発した「世界のホースマンよ見てくれ。これが日本近代競馬の結晶だ!」
ディープインパクトを示すフレーズとしてぴったりであり、後世まで語られている。
初の敗戦から海外挑戦へ
古馬との初対決となった有馬記念。ここで予期せぬ出来事が起こった。
デビュー以来無敗を誇っていたディープインパクトが2着に敗れたのだ。
勝ったのは、C.ルメール鞍上で先行策を取ったハーツクライ。
その後にドバイSCも圧勝しており、相手も強かったが、ファンはショックを隠し切れなかった。
年が明けて2006年。ディープインパクトは古馬となった。
昨年末の敗戦がなかったのごとく、阪神大賞典、天皇賞春、宝塚記念と連勝を飾る。
そして、次走は世界最高峰のレースである凱旋門賞に向かうことが決まった。
勝利を日本全ての競馬ファンが待ち望み、遠くロンシャンでの衝撃を誰もが期待していた。
海外での敗戦~ラストラン
凱旋門賞では、前年の覇者ハリケーンラン、前年のBCターフ覇者シロッコの3強と見られていた。
レースは8頭立てと少頭数だったこともあり、好スタートを決め、2番手に付けることとなった。
直線では一旦先頭に立つも、レイルリンク、プライドに交わされ3着に敗れた。
その後、禁止薬物が体内から検出されたことにより、失格処分となった。
帰国後初戦のレースはジャパンカップを選択し、ここでも単勝1.3倍に支持され快勝した。
そして、次走はラストランとなる有馬記念。武豊騎手が「生涯最高のレース」というほど、最後は流しながらの圧勝で有終の美を飾った。