2017年10月26日(木)、米3冠に挑戦したラニが競走馬登録を抹消することが発表されました。
数々の伝説を残した稀代馬で、2016年のドバイUAEダービー(G2)が主な勝ち鞍となります。
惜しまれつつ引退した、ラニの現役時の競走馬生活を振り返ることにしました。
数々の伝説
厩務員さんのTwitterで数々のこぼれ話が披露されているので、いくつかPickUpしてみました。
厩舎地区から競馬場エリアへ馬運車で移動してラニを降ろす際、ちょうど隣の馬運車からアメリカ馬が降りるタイミングだった。
「先に行かせてくれないか?」
「ヤダね!エキサイトしてるんだ」
「ラニだぞ」
「…お先にどうぞ」会釈しながら…。
アメリカでもラニのやんちゃぶりは有名だそうです・・
30日の調教の帰り道。
他の厩舎地区で引き運動をしている馬がいました。金網を挟んでお互い吠え合っていました。
いくら促しても進もうとしないラニ。あちらの厩務員さんも引き下がりません。
するとあちらの馬が後退りし始めます。それを見てからラニも歩き出しました。
2冠馬に失礼な事を…
ネット上では、カリフォルニアクロームに勝利したと騒がれておりましたね・・
コース入り初日の帰りの馬道、前を行く外国馬に反応して馬っ気を出し尻っ跳ね。
その際に右トモがラチを跨いでしまい動けなくなるも、自らラチを折って出てきました。
塩ビの様な柔らかい素材で無傷でしたが、翌日からメイダンでクレイジーホースと有名になってしまいました。
クレイジーホースと有名になってしまったお話です。
ラニの血統
ラニはアメリカで生産され、日本で競走生活を送った外国産馬です。
馬名の意味は、ハワイ語で「天国」「天空」を示すそうです。
ラニ(牡)
松永幹厩舎(栗東)、North Hills Co.
父:Tapit
母:ヘヴンリーロマンス
父は2014年~2016年の北米リーディングサイアーに輝いたタピット。
競走馬時代は病気や故障の影響であまり活躍できませんでした。
しかし、種牡馬としては大成功、2015年の種付け価格は30万ドルに達しています。
母のヘヴンリーロマンスは2005年に低評価を跳ね返して、天皇賞秋を勝利しました。
ヘヴンリーロマンスもノースヒルズの所有馬で、産駒は全て松永幹厩舎で管理されています。
代表産駒は半兄にアウォーディー(父:ジャングルポケット)、半姉にアムールブリエ(父:Smart Strike)。
母は芝で活躍しましたが、産駒はダートで活躍する傾向があるようですね。
競走馬としての戦績
3年間、現役として過ごした戦績をまとめて記載します。
2015年
日付 | レース名 | 距離 | 人 | 着 |
09/13 | 2歳新馬 | 芝2000 | 2 | 4 |
10/03 | 2歳未勝利 | ダ1800 | 1 | 2 |
11/22 | 2歳未勝利 | ダ1800 | 1 | 1 |
11/28 | カトレア賞 | ダ1600 | 3 | 1 |
デビューは芝でしたが、兄弟が活躍していることもあり、2戦目からはダート路線へ。
未勝利を勝った後、連闘でカトレア賞(500万下)に出走し、3コーナー過ぎから捲っての見事な勝利。
初の長距離輸送で連闘にもかかわらず、プラス体重での出走となり、ラニのタフさが伺えますね!
2016年
日付 | レース名 | 距離 | 人 | 着 |
02/21 | ヒヤシンスS | ダ1600 | 2 | 5 |
03/26 | UAEダービー | ダ1900 | 4 | 1 |
05/07 | ケンタッキーD | ダ2000 | 14 | 9 |
05/21 | プリークネスS | ダ1900 | 6 | 5 |
06/11 | ベルモントS | ダ2400 | 6 | 3 |
10/23 | ブラジルC | ダ2100 | 2 | 3 |
11/06 | みやこS | ダ1800 | 3 | 13 |
12/04 | チャンピオンC | ダ1800 | 8 | 9 |
ラニの名が世界に知れ渡ったのは、UAEダービーでの勝利がきっかけでしょう。
そして、これが本馬にとっては、最後の勝利となってしまいました。
その後は米3冠全てに出走し、最後のベルモントSでは3着に好走。
日本馬が米3歳クラシックに挑戦すると道を切り開いた、ラニは競馬界に大きなものを残しました。
2017年
日付 | レース名 | 距離 | 人 | 着 |
03/04 | マクトゥームC3 | ダ2000 | 4 | 6 |
03/25 | ドバイWC | ダ2000 | 7 | 8 |
05/07 | ブリリアントS | ダ2100 | 2 | 4 |
05/28 | 目黒記念 | 芝2500 | 10 | 17 |
10/22 | ブラジルC | ダ2100 | 3 | 5 |
米3冠挑戦後は、陣営もいろいろと苦労していたそうですね。
武豊騎手・ムーア騎手が絶賛したように、スケール感は半端ないが、レースで結果を出せない。
再度、ドバイへの遠征や芝レースへの挑戦などを実行しても、やはり結果はついてこない。
種牡馬入りが確定している以上、去勢はできないと厩務員さんもおっしゃられていました。
そして、陣営が出した結論は、ブラジルC(5着)を最後に引退して、アロースタッドで種牡馬入り。
寂しくはなりますが、種牡馬としての活躍を期待したいです!