JRAから外国人騎手の短期免許制度を見直すことが発表されました。
本制度は1994年にJRA所属騎手の技術向上を目的として導入され、一定の成果が得られました。
しかし、近年はJRA所属騎手を取り巻く環境が変化しております。
また、外国人騎手が制裁を受けるケースがあったため、現行制度を変更することになったようです。
短期免許制度の見直し
主な変更点は以下のとおりです。
成績基準(母国でのリーディング順位)
北米:5位以内(現行は30位以内)
英仏:5位以内(現行は10位以内)
豪州:3位以内
アイルランド:3位以内
なお、秋季G1の4競走の褒賞金対象となる「指定外国競走」54レースを通算で、2勝以上していれば順位に関係なく取得可能。
免許期間
新規申請者/騎乗停止処分を1回受けた騎手、及び、制裁点数が15点を超えた騎手は、翌年の期間が2か月以内に制限される。
これまでは、一律3カ月以内。
なお、人数の「同時期に5人以内」については変更されない。
新基準に照らすと、2003年以降に免許を交付した延べ193人のうち、半数近くが対象外となる模様。
JRA所属騎手を取り巻く環境
2つのデータを載せてみました。
青字は地方→JRAに移籍した騎手、赤字は外国→JRAに移籍した騎手、及び、外国人騎手。
2015年 秋G1
日付 | レース名 | 勝利馬 | 勝利騎手 |
10/4 | スプリンターズS | ストレイトガール | 戸崎圭太 |
10/18 | 秋華賞 | ミッキークイーン | 浜中俊 |
10/25 | 菊花賞 | キタサンブラック | 北村宏司 |
11/1 | 天皇賞(秋) | ラブリーデイ | 浜中俊 |
11/15 | エリザベス女王杯 | マリアライト | 蛯名正義 |
11/22 | マイルCS | モーリス | R.ムーア |
11/29 | ジャパンC | ショウナンパンドラ | 池添謙一 |
12/6 | チャンピオンズC | サンビスタ | M.デムーロ |
12/13 | 阪神JF | メジャーエンブレム | C.ルメール |
12/20 | 朝日杯FS | リオンディーズ | M.デムーロ |
12/27 | 有馬記念 | ゴールドアクター | 吉田隼人 |
騎手リーディング順位(2016/5/15現在)
順位 | 騎手名 | 勝利数 | 勝率 |
1 | C.ルメール | 70 | 0.213 |
2 | 戸崎圭太 | 68 | 0.178 |
3 | M.デムーロ | 60 | 0.208 |
4 | 川田将雅 | 51 | 0.172 |
5 | 岩田康誠 | 38 | 0.104 |
6 | 内田博幸 | 35 | 0.095 |
7 | 蛯名正義 | 34 | 0.115 |
8 | 武豊 | 32 | 0.119 |
9 | 田辺裕信 | 32 | 0.110 |
10 | 福永祐一 | 32 | 0.144 |
各データともJRA所属の生え抜き騎手は半数くらいの割合になっております。
特にリーディング5位までに入っているのは、4位の川田騎手のみとなっています。
話は少し逸れますが、ジャパンCは毎年外国馬が勝ち、NHKマイルCは出走馬のほとんどがマル外のような時代もありました。
しかし、生産者や調教師などの競馬関係者の努力で、近年は日本馬が外国のレースで勝利。
また、国際レーティングで上位に入ったりするなど、外国馬と日本馬の実力差はなくなりました。
国外でも通用する競走馬と騎手がいることは、日本競馬の発展には欠かせないと考えております。
一方、若手騎手はG1レースでは騎乗機会すら与えられないのが現状だと思います。
JRAは若手騎手の育成に力を注がないと、生え抜き騎手以外でリーディング10位まで独占される日が近い将来やってくるのかもしれません。